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『Kinema Rock ‘n’ Roll』Crank up Talk session!

2018年2月5日

『Kinema Rock ‘n’ Roll』Crank up Talk session

presented by The Doggy Paddle

 

 

 

2018年、戌年。

The Doggy Paddleからあなたに届け!

結成10周年にして完成した待望のファーストフルアルバム『Kinema Rock ‘n’ Roll』。

それは音楽であり、アートであり、物語でもある。サウンドや歌詞、デザインに至るまで、バンドの誇りと美学が詰まった、まさに芸術作品と呼ぶべき1枚となった。

いよいよ本格的に動き出したドギー・イヤー。その口火を切る新アルバムの全貌やいかに!

メンバーそれぞれの推し曲、そしてタイトルに込めた想いとは。心ゆくまで語ってもらった。これを読めば『Kinema Rock ‘n’ Roll』が101倍楽しめること間違いなし!

それではバンド初となるメンバー全員インタビュー、間もなく開演致します。

 


 

 

 

今まで以上に恵守の核に触れたアルバムになっている(横道)

 

 

――ついに『Kinema Rock ‘n’ Roll』発売です。オリジナルメンバーの恵守さん、横道さんにとっては10年目にして初のフルアルバム。バンド史上最もドラマチックな作品が出来あがりましたね。

 

横道 孟(Gt): 今まで以上に恵守の核に触れたアルバムになっていると思います。レパートリーは広いんですけど、ちゃんと一貫性があって。それは恵守のパーソナリティーがものすごく出ているからなんですよね。歌詞においても今までで一番恵守が出てる。ここまで暗いところを出せるようになったのは、俺は慎ちゃんの力だと思ってるんですよね。

 

村田 慎太郎(Ba) 俺っていうかこの4人になったからですよ。

 

横道: そうそう、このメンバーになって自分をさらけ出せるようになった、っていうか。

 

――一昨年の慎太郎さん加入で現メンバーになったわけですが、それでバンドは変わりましたか?

 

恵守 佑太(Vo / Gt): 確かにそれはありますね。俺は気を遣わなくなったというか……良い意味でも悪い意味でも、バンドやる上で横柄になれたんですよね。ちょっと前までは“俺がやらなきゃ!”と思っていたんですけど、今はすごくメンバーが支えてくれているという実感があるので、ふんぞり返っていられるんですよね。

 

 

 

“弾き語りのバンド版”じゃなくてちゃんとドギーパドルの曲になったのがすごく嬉しかった(恵守)

 

 

――今作は全曲、恵守さんによる作詞作曲とあって、歌詞やタイトルの至る所に恵守さんを取り巻くカルチャーを感じます。例えば「エレクトリック・シープドッグ」。これは映画「ブレードランナー」の原作でもあるフィリップ・K ・ディックの小説・『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』がモチーフなっていますよね。

 

恵守 : そうなんですよ!そのエッセンスを感じてもらえたのはすごく嬉しいですね。その世界観を借りて、自分の中で妄想しました(笑)。好きな人はすぐに分かると思います。

サウンド的にもちょっと珍しい感じに仕上がったんじゃないかな、と。特にドラムの音とか。

 

――ちょっと電子音っぽくて新鮮でした。

 

中村 虎太朗(Dr): これは遊びましたねえ(笑)。ドラムは録り終わったあとに、そのモチーフをエンジニアさんと共有してエフェクトをつけたんです。

 

横道 : そうそう。この曲はレコーディング終わったあとが楽しかったよね。だからミックスも含めてやっと完成した、という感覚でした。

 

――「エレクトリック・シープドッグ」もそうですが、今作はミドルナンバーの存在感が鍵だと思いました。「black bunny sweet girl」や「Bandit!」のようなロックチューンも然ることながら、ドギーらしさを感じたのはミドルナンバーやバラードだったんです。曲ごとの物語に合わせてバラエティ豊かな音楽が鳴っていたのがとても魅力的でした。

 

村田 : 今回は特にそういう要素が強いと思います。

 

恵守 : そうですね。例えば「クドリャフカ」(2014年)は自分たちにとって名刺かわりみたいな曲なんですけど、もっと深く仲良くなるとこっちの方になってくるんですよね(笑)。

 

 

▽「クドリャフカ」MV

 

――なるほど(笑)。でも「嵐が丘」が音源化される前からお客さんの間で話題になったりと、今やミドルナンバーもドギーの代名詞だと思います。それはガレージ一辺倒ではなくメロディーやポップな要素を大事にしてきたバンドならではの武器だな、と再認識しました。

 

恵守 : そうですね。あと一昨年くらいから弾き語りライヴを始めて、今回でいえば「あなたに届け」「Bandit!」「アイボリー」「ガーベラ」「ユーフォルビア」「グッドメロディ」が弾き語りで作った曲なんです。自分が色濃く出ているという点も含め、この影響でかいのかなと思います。

 

――確実にその影響だと思います。

 

恵守 : 今まではエレキギターを持ってスタジオ入って、コードとメロディーが浮かんだらメンバーに聴かせて。歌詞もバンドでの音を聴きながら並行して書くこと方が多かったのが、今回はひとりで成立させるところから始めたという違いはありました。でもそれをバンドで演奏した時に“弾き語りのバンド版”じゃなくてちゃんとドギーパドルの曲になったのがすごく嬉しかったんですよね。

 

 

 

恵守佑太という男のメロディーと声の凄味を感じた(中村)

 

 

――ではアルバムの成り立ちも分かってきたところで、曲についても伺います。せっかくなので、メンバーひとりひとりに一番思い入れのある曲を発表していただき、その曲について皆さんに語っていただければと思います。

 

中村 : 僕は「ガーベラ」ですね。「ガーベラ」をこの曲調にしようと提案したのは僕なんです。

 

村田 : 言ってしまえば今までのドギーパドルらしくない曲なんですよね。恵守のメロディーは一貫しているけど、装いが違うというか。

 

中村 : まさにそうなんです。だからこそ余計に恵守佑太という男のメロディーと声の凄味を感じましたね。僕はもともとこういう曲調がすごく好きで、弾き語りの音をもらって色々とイメージしていたら、ドギーパドルにこういう曲調がハマることを発見したんです。それで“こういうアレンジで行こうよ!”ってメンバーに提案したら“いいじゃん!”って言ってくれて。なかなか慣れないことをやったので難しい部分はありましたけど、嬉しかったです。

 

――確かにこういったジャズライクなバラードは、今までのドギーパドルにはない曲調ですよね。

 

中村 : あと僕この曲のギターソロが好きなんですよね。歌えるギターソロが好きなんですけど、このアルバムで一番好きなギターソロが「ガーベラ」のソロなんですよね。

 

横道 : これアドリブなんですけどね(笑)。エンジニアさんと話をする中でアレンジが変わって、もともと用意してたものがハマらなくなっちゃって。それで現場でアドリブで弾いたのを、エンジニアさんもすごく気に入ってくれたんですよ。

 

 

 

この曲を聴いて俺のギターが好きだったら俺自身のことを好きになれる(横道)

 

 

――横道さんにとっては今回、久々にプレイヤーに徹してのアルバムとなりました。

 

横道 : 確かに今回のアルバムがギタリストとしての俺が一番出てるかもしれない。

 

――そういった点も踏まえて、どの曲を選びますか?

 

横道 :「Bandit!」か「ユーフォルビア」なんだけど……「ユーフォルビア」かな。恵守の弾き語りで聴いたときに、すごく泥臭さを感じたんだけど、さらに泥を盛れるな、と思って。最初は歌から始まるアレンジだったんですけど、俺がイントロを作ったんですよね。

 

――ガサついた音で鳴らされるイントロのフレーズ、とても印象的でした。

 

横道 : この曲のギターフレーズが今作の中で一番自分を出したギターなんですよ。だからこの曲を聴いて俺のギターが好きだったら俺のことを好きになれるっていうか……(笑)。

 

(一同笑)

 

横道 : だから逆にこのギターが嫌いだったら、普通に話してても俺のこと嫌いになると思う(笑)。そのくらい自分の人間性が込められたギターなんですよ。

 

村田 : “横道 孟”を知りたければユーフォルビアを聴け!と(笑)。

 

恵守 : それ良いキャッチフレーズ!

 

横道 : あと歌詞もすごく好きなんですよね。恵守って基本的に嘆いてるんですよ。この曲もサビは結構明るいフレーズじゃないですか。でも〈悲しみが多すぎてさ 溢れ出して靴がびしゃびしゃ〉って歌詞なんですよね。〈汚いベッドで死んだ振り〉(2016年「嵐が丘」)以来の俺の中ヒットです。

 

 

▽「嵐が丘」MV

 

--タイトルの「ユーフォルビア」とは奇妙な形をした植物の名前だそうですね。

 

恵守 : 曲を作っているときにずっと浮かんでいた風景にユーフォルビアがあったんです。「バニーカクタス」を作った時もそうなんですけど、バニーカクタスのどんどん分裂していく様子から、何かが膨らんで増えていくイメージで作ったんですよね。だから「ユーフォルビア」はその続編ってわけじゃないですけど、ちょっとグロテスクなビジュアルイメージに曲の世界観を感じてもらえたらと。

 

横道 : この曲は恵守流ディストピアなんだと思います。

 

恵守 : これはずっと一貫してるんですけど、自分の精神世界にあるんですよね、そのディストピアみたいなものが。だから言ってしまえば「クドリャフカ」とかも同じ世界の話だと思うし。

 

――恵守さんの中にあるディストピアこそが、ドギーパドルの楽曲の源泉なんですね。

 

横道 : 恵守の歌詞を読んでると日ごろどんだけ傷ついてるんだよ、って思いますけどね(笑)

 

(一同笑)

 

恵守 : いいんだよ、それを昇華して曲にしてる部分はあるからさ。

 

 

 

メロディーに絶対的な自信があるからこそ、曲をいくらいじってもドギーパドルというものがブレない(村田)

 

 

――続きまして、慎太郎さんはいかがでしょうか。

 

村田 :ノイローゼ」ですね。タイトル聞いたときにまずびっくりしましたけど(笑)。パンチがすごくないですか?ノイローゼって。もし俺が曲の内容知らなくて曲順を見たときにこのタイトルがあったらすごく気になると思うんですよね。

 

――確かに、ちょっと怖い物見たさというか……。

 

村田 : そうなんですよ。でもこの曲、俺の中ではオルタナな感じがしていて、ドギーの初期の楽曲の暗くて重たい雰囲気があると思っています。でもサビに恵守の良さが出ていてすごくキャッチーなんですよ。家で洗い物をしていてつい歌ってしまうのはこのサビですね。歌詞もすごく好きなんです。

 

恵守 : 大丈夫か?それはそれで(笑)

 

(一同笑)

 

――この曲然り、ドギーパドルの楽曲には必ず一度聴いただけで覚えられるフレーズがあるんですよね。だからライヴで新曲を聴いても、帰りにすぐ鼻唄で歌えちゃう。

 

横道 : そこは俺ら結構こだわりが強くて。メロディー至上主義なんですよね。

 

村田 : そこに絶対的な自信があるからこそ、曲をいくらいじってもドギーパドルというものがブレないんだと思います。

 

中村 : あとこの曲、慎ちゃんがベースラインを持ってきて、そこからふわっと広がっていったんですよ。これ言わないと(笑)。

 

村田 : あ、そうだったね!(笑)。

 

恵守 : 実はこの曲、録る段階で悩んでしまって。アルバムに入らない可能性があったんですよね。

 

横道 : そうしたらスタジオに慎ちゃんが持ってきたフレーズがパワーフレーズで。これはもう入れなきゃダメでしょ!って。だから慎ちゃんのベースラインがなかったら、この曲はアルバムに入ってなかったと思います。

 

 

 

収録曲の半数を弾き語りで作ったアルバムの魅力が集約されているのが「グッドメロディ」(恵守)

 

 

――では最後、恵守さんです。全曲の作詞作曲、そして弾き語りを取り入れた曲作り。横道さんも言っていたように、ご自身のパーソナリティが色濃く出た作品になったと思います。

 

恵守 : そうですね。自分的には全部わが子なので、同じ気持ちではあるんですけど、何か1曲と言われたら「グッドメロディ」ですかね。もうタイトルそのまま、グッドメロディができたな、と。

 

――この曲は歌い出しの掴みも強烈で、そこからバンドサウンドになる瞬間の瞬発力にも圧倒されます。この曲も弾き語りから生まれたと聞いて驚きました。

 

村田 : Aメロのドラムのビートが入った瞬間“こういう感じもあるんだ!”って言ってたよね?

 

恵守 : そうだね。

 

横道 : それに弾き語りの時はもっとテンポも遅かったもんね。

 

――まさに先ほど恵守さんが言っていたように、バンドに持ち込むことで化学反応が起きた曲なんですね。

 

恵守 : そうですね。バンドになった途端、こんなにも広げてくれるんだ、と思いました。だから当初自分の頭にあったイメージは完全に崩れ去っていて、もう思い出せないくらいなんです。そういう意味でバンドの力をすごく感じたし、弾き語りで作ったスタンスもちゃんと残せてる。だからすごく新鮮だし、収録曲の半数を弾き語りで作ったアルバムの魅力が集約されているのが「グッドメロディ」なんですよね。だから自分の中では思い入れが強いんです。

 

――皆さんが言うように、今作は確かに恵守さんという人物を軸にしたアルバムなんだと思います。それなのにメンバーそれぞれの個性も今までで一番出ている作品だと感じました。ソングライターへの敬意と、プレイヤーとしての矜持、そして何よりひとりひとりがThe Doggy Paddleというバンドを本当に愛しているんだな、と。

 

村田 : 単独インタビューでも言いましたが、俺はもともとドギーのファンだったから恵守の書く曲はもっとたくさんの人に知られなきゃおかしい、っていう思いは強いですね。自分がそこまで影響を受けたということは、他にもきっといるはずなんです。それだけは絶対に自信があって。だからそういう人のところまで届けなきゃいけないんですよ。そのために俺たちがやらなきゃいけないことはたくさんあるけど、この音楽が埋もれてしまうのだけは、絶対にダメなんですよ。

 

中村 : そう思いますね。俺も入る前からドギーパドルが大好きだったから、前任のドラムが脱退したときに“俺が叩いたらこのバンドもっとカッコよくなる!”って横道君に長文のメールを送って……(笑)。だからバンドにプラスになることなら何でもやるし、もしその逆のことが起こりそうになったら“それは違うんじゃない?”って言いますし。

 

 

 

自分たちがWESTでライヴをして、仲間のバンドに大きなステージに立つ姿を見せたい(恵守)

 

 

――最後に『Kinema Rock ‘n’ Roll』というタイトルについて、聞かせてください。

 

恵守 : 今回は、アルバムで一貫したテーマがあるというよりは、曲ごとに別の物語が描かれていて。それが映画みたいだな、というのがひとつ。もうひとつは「キネマ・ロックンロール」という曲ですね。この曲はバンドマンの曲なんですけど、同時にアルバムを総括する曲でもあって。そこから名付けました。

 

――「キネマ・ロックンロール」の歌詞に登場する〈劇場〉に、アルバムツアーのファイナルの地、TSUTAYA O-WESTのステージを重ねてしまいます。

 

恵守 : 俺と横道でドギーパドルを始めて10年。解散するって話も何度もあったけど、今この4人になって『Kinema Rock ‘n’ Roll』をリリースできたのは本当に幸せなことだと思います。俺たちは事務所にも入っていないDIYバンドだけど、協力者には恵まれていて。そういう方たちの助けもあって、5月にTSUTAYA O-WESTでワンマンが出来るんです。だからこそ、風穴を開けたい。俺たちと同じようにライヴハウスで活動しているバンドにも、かっこいいバンドはたくさんいるから。まず自分達がWESTでライヴをして、仲間のバンドに大きなステージに立つ姿を見せたいんです。それでどんどん後に続いてほしいんですよね。

 

 

▽The Doggy Paddle ONE MAN 2018 -予告編- 

 

text by mai ishihara