【Road to The Doggy Paddle!!】
Shintaro Murata One Man Interview presented by The Doggy Paddle
遡ること10月某日、The Doggy Paddleのアジトにて画策された、
バンド史上最も破天荒な企み、その名も“101CHALLENGE!”。
この記事を読んでいる諸君は、もう概要をご存知とは思うが、念の為にもう一度説明しておこう。
“101CHALLENGE!”とはThe Doggy Paddleが来年5月16日に決行する、
渋谷・TSUTAYA O-WESTのワンマンライヴのチケットの売れ行きに応じて様々なコンテンツを公開するという大企画だ。
1st Stage達成時には来年2月発売のアルバム『Kinema Rock’n’Roll』から早くも「black bunny sweet girl」のライヴ動画を公開。
続く2nd Stage達成のリターンがこの記事なのである。
なんと今回はオリジナルメンバーを差し置いて、
昨年バンドに正式加入したばかりのベーシスト村田 慎太郎に単独インタビュー!
え、なんでいきなり慎ちゃんなのかって?そうそう、それを説明しないと。
我らが慎ちゃんは今年、記念すべきMISOJIを迎えたってコトで、
こりゃあ“101CHALLENGE!”でお祝するっきゃない!と30枚達成でのソロインタビューが決定したってワケさ。
それじゃあ、準備はいいかい?
ドギー加入秘話からO-WESTへの意気込みまで……村田 慎太郎 ワンマンインタビュー、
題して“Road to The Doggy Paddle!!”スタート!
恵守は俺にとっての憧れの人
――まずはドギーパドルとの馴れ初めから教えてください。
「俺はもともと恵守(Vo / Gt)のファンだったんですよね。前のバンドのメンバーの家で
〈歯車〉が入ってるドギーのセカンドデモを聴いて、格好良い歌を歌う人だなと思って。
だから俺にとっては憧れの人なんですよね、恵守って」
――他のメンバーとはいつごろから交流があったのでしょうか。
「他のメンバーに関しては2年前の12月まで、全然交流がなくて(笑)」
――逆に2年前の12月に、何があったんですか。
「旅行に行ったんですよ、マカオに。恵守と横道(Gt)とコタロー(Dr)と4人で」
――それまで交流がなかったのに突然旅行って……。急接近すぎませんか(笑)。
「当初は恵守とふたりで行くつもりだったんですけどね、なぜか4人で行って(笑)。
それでなんか意気投合しちゃったんですよね。
だからその旅行がなかったら加入はなかったかもしれません」
オファーされた時、ベースも持ってなかったし、弾いたこともなかった
――年が明けて2016年の2月に前任のベーシストが脱退。同年3月からサポ―トベーシストとしてドギーパドルに参加することになった、と。
「そうなんですよ。旅行の時は自分がドギーでベースを弾くなんて、1ミリも思ってませんでしたけど。
……でもこうして思い返してみると、色々おかしいんですよね」
――おかしい、とは。
「最初にドギーからオファーされた時、俺はベースも持ってなかったし弾いたこともなかったんですよね。
前のバンドではヴォーカルギターだったので。だからもちろんメンバーも俺がベースを
弾いているライヴを観たとかでもなく……。しかも当時サポートベースは3人体制でやりますって発表していて、
当然ですけど他の2人はベーシストなわけですよ。だから、なんだこれは、って(笑)」
――もはや無茶ぶりの範疇すらも軽く超えていますね。
「まあテクニックじゃなくて人間性を見てくれたってことですかね(笑)。
でも不思議と俺も“いやいや無理でしょ!”とは思わなかったんですよ。
ドギーを好きな気持ちだけは他の2人に負けてないぞっていう自信はあったから、
それだけで頑張っていたんでしょうね。好きなバンドだけに、プレッシャーはありましたけど」
――それはそうですよね。
「ドギーは活動も活発で、ましてや自分もファンだったわけだから、
自分が入ることで悪い意味で変わってしまったら……と。でもやると決めてからはナニクソ、でしたけどね。
3人とサポート、という気持ちで弾いたことは一度もなかったです」
こんなに合うやつは俺しかいないだろう、って自信はあった
(『ThunderBolt Parade』Trailer)
――その後10月10日の『ThunderBolt Parade』のレコ発ライヴで、晴れて正式加入となりました。
「4月以降はずっと俺が弾いてたので、もう当たり前みたいな感じになっていたんですよね。
正式加入前に遠征にも行ってたし、レコーディングもしていたので(笑)」
――それならもっと早く正式メンバーにしてほしい、という気持ちはなかったんですか?
「なかったですね。……別に婚姻届にサインしなくても……みたいな(笑)」
――あはははは!(笑)でも晴れて10月に婚姻届に……
「サインしましたね(笑)こんなに合うやつは俺しかいないだろう、って自信はあったし。
まあ、それを思わなかったら入るべきじゃないと思うんですよね」
――ちなみに、プロポーズの言葉は?
「それ、覚えてないんですよ。場所は焼肉屋でしたね。なんか改まってる感はありましたけど。
もう同棲期間(笑)が長いから、お互いのことも分かっていたし。俺の答えは決まっていたので。
まあ、真面目な話をするとタイミングについてはちゃんと自分たちの企画の日にしたい、
とか色々と気を遣ってくれてたみたいで。そういうところ律儀なんですよね」
――そんな加入劇から今年の10月で1年。ファンだったバンドのメンバーになった感想は?
「現実を観た感じはありましたね、美化してた部分はあったから。悪い意味じゃないんですけど。
やっぱり友達として会ってる顔とは違う。真剣にやってるからこそ、なんですけど。
例えば今まで恵守の怒ったところなんて見たことなかったけど、そういう一面も見たりとか。
長い時間一緒にいると、良いところも悪いところも当たり前に見えてきますからね。
向こうからしてもそうかもしれないけど(笑)」
――1年経って、慎太郎さん自身はバンドとの関わり方で変わった部分はありますか?
「入ったばかりの時は新しく……ましてやベース未経験で入ったので、意見しづらい自分がいたんですよね。
ベーシストとしても、口には出さないけど最初のうちは“弾いたことないし”って逃げはあったんですよね。
でも観る人にはそんなことは関係ないし、そこに甘えてもしょうがないから。
バンドのことに関しても後から入って分からないことも多いから、最初は黙ってることが多かった。
でも1年経ってそれは良くないな、と。お互い信頼してるなら思ったことを言った方が良い、と思うようになりました」
メンバー3人の人生は、自分の人生。だから頑張らなきゃいけない。
――改めて慎太郎さんはドギーパドルって、どんなバンドだと思います?
「俺もドギーが大好きだけど、ドギーパドルは全員ドギーパドルが大好きなんですよ。
バンドにかける熱量がみんな同じ。そしてみんな不器用。嘘がつけないんですよね。
自分はそうじゃないって思ってたんですけど、そんなこともないらしくて(笑)。
向こうも俺を人間として好きになってくれたから今があると思うんですけど、
入って分かったのは、俺も3人の人間性が好きなんですよね。その上、バンドがカッコイイっていう。
一緒にいて楽しいし、愛に溢れてますよ、ドギーパドルは。
でも仲良しごっこになっちゃうとそれは違うから。その分すごくストイックなんですよね」
――仲良しごっこができるほど器用だとも思えませんが(笑)。
「あはははは!そうかも(笑)。バンドってメンバーが4人いたら4人でひとつなんですよ。
メンバー3人の人生は、自分の人生。だから頑張らなきゃいけないなって思います。
人の人生背負うわけですからね」
――今の4人になって、メンバー同士の信頼関係はより強固になったように思います。
「信頼関係はもう絶対的なものだと思います。絶対に壊れないと、俺は勝手に思ってる。
何かあっても必ず元に戻ると思うし、元に戻さなきゃいけない。
バンドは4人いるんだから、たとえば恵守と横道が喧嘩しても、あとの2人がなんとかすれば良い話。
だから逆の立場でもそれをやってほしいと思ってるし。向いてる方向は同じだから、心配事はないですね。
……きれいごとですかね(笑)」
俺はコタローと良い水槽を作って、その中で恵守と横道に好き勝手に泳いでほしい
(「あなたに届け」MV)
――ドギーパドルは自主レーベルを立ち上げ、アートワーク等も自ら手掛けるDIYバンド。もしドギーパドルがひとつの会社だとしたら、それぞれどういう役割だと思いますか?
「やっぱり恵守には社長であってほしい。恵守の書く詞とか歌ってる姿をみんな尊敬してるし、好きなんですよね。
自分のやってるバンドなんですけど、ひとりで夜中とかにお酒呑みながら聴くんですよね。
その度に“これは絶対色んな人に届けたい”って思うのは、恵守の歌があるからで。そこはずっと変わらなくて。
最初は憧れだったけど、色んなことを知って……真面目なところもあるし、弱いところもいっぱいあって。
ドギーをやってから余計好きになりましたね。
だからそのバンドで弾けることは嬉しいな、って思っています」
――リズム隊の相方、コタローさんはどうでしょう。
「コタローは現場監督ですかね。会社のたとえになってないですけど(笑)。
実は一番頭が切れる。みんな一貫して真面目なんですけど、コタローはすごく冷静。
物事を客観視出来るんですよね。恵守とコタローって似てるけど似てないみたいな感じで。
恵守は情熱的で感情が豊かなんですけど、コタローはそれを受け入れた上で冷静になれる。
だから2人の関係は成り立ってるんだろうなって。あと、俺とコタローは水槽を作る側なんです」
――水槽を作るとは?
「ドギーパドルはすごい水槽なんだ、ってコタローと呑みながら話したことがあって。
水槽だから当然中に魚が泳いでるんですけど、その魚が恵守と横道。
俺はコタローと良い水槽を作って、その中で恵守と横道に好き勝手に泳いでほしいんです。
水槽っていくら綺麗にしても、そこに魚がいなきゃ誰の目にも止まらないし、魚は水槽がないと泳げない。
そのバランスが俺の中ではあるんですよね」
――そうですね。水槽を整えてくれる人がいなければ、恵守さん横道さんは自分たちの良さを出す場がない。
「そう。それに水槽を作ってる側からしたら、そこで気持ち良く泳いでくれるのを見たら嬉しいから。
ドギーパドルって3人ともすごく優しくて。
恵守とか横道は水槽を作ってくれたことにちゃんと感謝が出来るんですよね。
この水槽があるのは作ってくれた人がいるからだ、っていうのを分かってる。
だからすごく対等なんですよね。それはすごく思います」
後から入って来たからこそ、潤滑油になりたい
――もうひとりの“泳ぐ側”横道さんは、会社にたとえたらどうなりますか?
「横道は……会社にはいないんですよ。部外者じゃないんだけど、いない。
だけどフラっと現れても“なに、あの人誰?”ってならないんですよ。
“あ、横道さんだ”ってみんなが知ってる。横道は、王子様なんですよ。めちゃくちゃ抽象的なんですけど(笑)」
――何かにつけて枠に収まらない、と。
「どうかと思いますけどね(笑)。枠に収まってほしいときも収まらないし。
“ちゃんとしな?”って思う時もたくさんあって、叱ることも一番多い。
でも横道がいないとドギーパドルは成り立たないんですよ、きっと。
恵守も不満はあるだろうけど横道がいることで出来てることも多いと思います。
……横道 孟をまとめるのは難しいですね。でもやっぱり横道も優しいんですよね。
だから何かが出来なくても次は手伝ってあげよう、って思ってしまう。
愛すべき馬鹿ですよ。ズルいですね。ズルイって書いておいてください(笑)」
――では最後、慎太郎さんご自身はいかがでしょう。
「なんでしょうね。掃除してるおばさんじゃないですか?」
――そう来ましたか(笑)。
「自分が何か分からないですね(笑)。俺は皆で話したいこともあれば、直で話したい時もあるんですよね」
――1対1で、ということですか?
「そう。潤滑油になりたいんですよね。元々いるからこそ3人では言えないこともあるだろうし。
そういうポジションが必要だなって。多分そういうのが向いてるんですよね。
大したことが言えないことも多いけど、聞くことが好きだし。皆で集まった時に、
勝手にこうなのかな、と考えて何も言えなくなってしまうのかもしれませんが。
多分横道は恵守に言いにくいことがあるし、恵守は恵守で言いにくいことがある。
コタローもそうだと思うから、個別に話を聞きたくなるんですよね。
後から入ってきたからこそ、そういうことでもお互い言ったり聞いたりできるんじゃないかなって。
だから後から入ったのも悪くないなって」
O-WESTに、最高の犬掻きを観に来てほしい
(「エデンの西」The Doggy Paddle ONE MAN 2018 –予告編–)
――来年にはフルアルバム『Kinema Rock’n’Roll』の発売、そして5月にはTSUTAYA O-WESTでのワンマンライヴが控えています。
「『Kinema Rock’n’Roll』は今まで以上に恵守の正直な気持ちが形になってるし、
それを受けての自分を含めての音が鳴ってると思います。O-WESTでのワンマンという、
すごいことをやろうとはしてるんですけど、自分たちの中では過程なんですよね。
でも過程を成功させないとその先に行けないから。想像するんですよ……O-WESTで演奏してる時を。
左側に恵守がいて……たぶん恵守の性格だから、終わった後にはハッピーだけじゃなく、
もう次の野望を思い浮かべてるんだろうな(苦笑)。それだけストイックな性格なんですよ。
俺も不安はいっぱいあるし、みんな思うことはあるかもしれないけど、
ドギーとしては10周年で戌年。気合の入り方はすごいんじゃないですかね」
――O-WESTでドギーがどんな景色を見せてくれるのか、楽しみにしています。
「俺も楽しみです。たぶん、感動してくれると思うんですよね。
自分たちもお客さんの顔を見て感動したい。
だからひとりでも多くの人にドギーパドルの音楽を聴いてもらいたくて、こんな企画もやっています。
それでいつか“O-WESTで頑張ってやったよね”って笑って話したいなって(笑)」
――気が早い(笑)。
「来年5月16日、O-WESTに最高の犬掻きを観に来てほしいです」
Thanks 30 tickets!!
(取材・文:イシハラマイ)
(撮影:乙羽)